第4巻496番歌はこちらにまとめました。
第4巻 496番歌
巻 | 第4巻 |
歌番号 | 496番歌 |
作者 | 柿本人麻呂 |
題詞 | 柿本朝臣人麻呂歌四首 |
原文 | 三熊野之 浦乃濱木綿 百重成 心者雖念 直不相鴨 |
訓読 | み熊野の浦の浜木綿百重なす心は思へど直に逢はぬかも |
かな | みくまのの うらのはまゆふ ももへなす こころはもへど ただにあはぬかも |
英語(ローマ字) | MIKUMANONO URANOHAMAYUFU MOMOHENASU KOKOROHAMOHEDO TADANIAHANUKAMO |
訳 | 熊野の浦の浜木綿の葉が幾重にも重なっている。そのように逢いたくて逢いたくてたまらないが、旅路にある身。直接逢えないのが無念。 |
左注 | – |
校異 | 歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 |
用語 | 相聞、作者:柿本人麻呂、恋情、挽歌発想、贈答、紀州、和歌山、羈旅、序詞、地名、植物 |
題詞は「柿本朝臣人麻呂の歌4首」とある。「朝臣」は八色の姓の1つ。
熊野は熊野古道で有名な紀伊半島南岸部。浜木綿(ハマユウ)は温暖な海浜によく見られるヒガンバナ科の多年草。真っ直ぐに伸びた茎の先から複数の花つけ、白く細長い6枚の花被を持つ。「百重なす」はその葉の様子を指している。
この歌は心の状態を比喩的に述べている。熊野は飛鳥ないし大和から遠く離れた場所であり、熊野にいて詠った切実さがこめられている。